古代から海を越えて密接に結びついてきた日本と朝鮮半島。仏教伝来、渡来人、朝鮮通信使など知られざる交流を古代から近世までを描く。韓流ドラマで歴史に関心をもった方にもわかりやすく魅力的に見てもらうシリーズ。韓流ブーム以後、民間交流が進んだ日本と韓国だが、いまなお歴史認識は大きな溝となっている。その溝を埋めようと、2002年以来、日韓両政府が主体となり、歴史共同研究プロジェクトが進められている。また、民間レベルでも歴史共通教材が次々と発表され、歴史を共有しようという努力が続けられている。朝鮮半島と日本はどのような関係を築いてきたのか。最新の学術的成果をもとに、古代から近代まで2000年の交流史を通覧する大型シリーズ。【収録内容】■第1回 『古代 人々は海峡を越えた』第1回は「古代」。女優の笛木優子さんが、日韓の話題の発掘現場を訪ね、弥生時代の稲作の伝来、古墳時代の鉄を通した相互交流を明らかにする。また、近年注目される百済・王興寺の発掘の成果を紹介。仏教伝来の真相に迫る。さらに、高松塚古墳壁画・四神図に隠された東アジアの壮大な歴史を取材。日韓両国の研究者が海峡を越えた交流の実相を読み解いていく。■第2回 『“任那日本府”の謎』「任那日本府」の問題は、今なお日韓の間で議論を呼んでいる。『日本書紀』や、中国東北部の『広開土王碑文』の記述などによって、4世紀から6世紀にかけて、日本が「任那日本府」を通じて朝鮮半島南部を支配したと長らく考えられてきた。しかし、近年の研究や発掘調査によって、その関係性が見直されている。鉄をめぐる知られざる交流や、韓国で発見された日本特有の前方後円墳など、最新の研究成果をもとに、交流の実像に迫る。レポーターは比留間亮司。■第3回 『仏教伝来 ~渡来人がもたらした飛鳥文化~』2007年、韓国の古都プヨの王興寺跡から、約1400年前の金製の舎利容器が発見された。そこに刻まれた文字から、王興寺は577年に創建されたことが判明。日本最古の寺院・飛鳥寺とのかかわりが、にわかに注目された。さらに出土品や伽藍(がらん)の配置などから、2つの寺を結ぶ深いつながりが浮き彫りになった。最新の発掘成果をもとに、古代日本と朝鮮半島の仏教を軸にした知られざる交流を描く。レポーターは笛木優子。■第4回 『そして“日本”がうまれた ~白村江の敗戦から律令国家へ~』「倭」から「日本」へ国号を改めたのは、西暦700年ごろとされる。その背景には、東アジアの激動があった。近年の研究で、645年の大化改新(乙巳の変)は、朝鮮半島の国々や大国・唐との外交路線をめぐる対立から起きたと指摘されるようになっている。続く663年の白村江の戦いで唐に大敗北を喫し、国家存亡の危機感の中で改革が急ピッチで進められた。律令国家“日本”が誕生するまでを東アジア諸国との関係から読み解く。レポーターは大桃美代子。■第5回 『日本海の道 ~幻の王国・渤海(ぼっかい)との交流~』7世紀朝鮮半島の北に興った渤海(ぼっかい)。史書の記述は少なく、幻の王国と呼ばれてきた。近年ロシア沿海州で発掘調査が進み、日本との知られざる交流が明らかになってきた。727年、日本へ軍事支援を求めてやってきた渤海使。やがて経済・文化交流が発展。秋田や金沢では使節来訪の痕跡が見つかり、ロシアのクラスキノでも交流をうかがわせる発掘が相次いでいる。古代、日本海の交流を明らかにする。レポーターは杉浦友紀。■第6回 『蒙古襲来の衝撃 ~三別抄と鎌倉幕府~』13世紀後半、日本を揺るがした蒙古襲来。その3年前に朝鮮半島から救援を求める謎の国書が届いていた。送り主は、高麗王朝に反旗を翻し蒙古に徹底抗戦を唱えた軍事集団、三別抄。近年の研究で三別抄の激しい抵抗が日本攻撃を大幅に遅らせるなど、蒙古軍の敗因のひとつになったことがわかってきた。チンド(珍島)からの救援要請に、日本はどう応じたのか? 東アジア全体に視野を広げ、日本と朝鮮半島双方の視点から空前の危機を読み直す。レポーターは笹部佳子。■第7回 『東シナ海の光と影 ~倭寇の実像を探る~』14世紀、東シナ海にこつ然と現れ、朝鮮半島から中国沿岸を襲った日本の海賊・倭寇。韓国の水中発掘調査により、彼らが活動した東シナ海の姿が明らかになってきた。高麗王朝滅亡にも影響を与えた海の民は、どうして現れたのか? そして、いかなる運命をたどったのか? 日本と朝鮮半島の双方から謎に包まれた倭寇の実像に迫る。レポーターはユンソナ。■第8回 『豊臣秀吉の朝鮮侵略』豊臣秀吉が起こした文禄慶長の役(1592~1598年)は朝鮮半島では「壬辰倭乱」と呼ばれ、日本の侵略の出発点として刻まれている。この戦争は日本と朝鮮、2か国間の紛争だけではなく、中国・明を含めた「日・朝・中」東アジア社会を変動させた国際戦争でもあった。悲劇はなぜ起きたのか? 戦争の実態を描く。レポーターは大桃美代子。■第9回 『朝鮮通信使 ~和解のために~』豊臣秀吉の朝鮮出兵(イムジンウェラン・壬辰倭乱)で、断絶した日本と朝鮮との関係。しかし江戸時代には、長期の平和な関係が築かれることになる。大きな役割を果たしたのが「朝鮮通信使」である。朝鮮はなぜ恩しゅうを超えて日本と和を結ぶことに踏み切ったのか? 日本はどう朝鮮通信使を受け入れたのか? 憎悪と不信を乗り越え、平和で対等な関係を築き上げた朝鮮通信使の実情を、日韓両国の最新の研究をもとに明らかにする。レポーターは田月仙(チョン・ウォルソン)。■第10回 『“脱亜”への道 ~江華島事件から日清戦争へ~』江華島事件を機に朝鮮王朝を開国させた日本。その後、両国の連携により、欧米列強に立ち向かおうと考えた人々がいた。福澤諭吉とキム・オッキュン(金玉均)である。開化派の官僚・キムは、福沢の支援を受け、日本型の近代化を進め、宗主国・清に対抗しようとした。しかし、クーデターの失敗で挫折。福澤は「脱亜論」を発表する。江華島事件から日清戦争までの近代の関係を福沢諭吉とキム・オッキュンを軸に見ていく。レポーターは大桃美代子。○2009年放送